Keebio の Fourier という自作キーボードをつくった

現在、世界的にキーボードが割れる病気が流行っているのを知っていましたか? 私も不幸なことに、キーボードが割れる病気に罹患してしまい、気付いていたら、 Keebio Fourier という自作キーボードのプリント基板(PCB)を発注していました。おそろしいものです。

Keebio Fourier

Fourier は、40%キーボードを分割したキーボードです。ファンクションや数字の行がないコンパクトなサイズになっています。ミニマムでストイック、こんなのを使いこなすのって、なんだか格好よいですよね。

準備

キーボード用パーツ

Keeb.io のサイトからは Fourier の PCB とプレート、分割されたキーボードをつなぐためのTRRSケーブルを購入しました。エアキャップ付きのクッション封筒に入って送付してくれるのですが、UPSの配送がひどくて、袋がボロボロになっていてリセットスイッチがばらばらになっていました。

キースイッチとして Cherry MX 青軸を選び、スタビライザーと一緒に AliExpressのKPrepublic から購入しています。シンガポールから箱がボコボコになりながらも無事に届きました。中身は問題なかったです。

Pro Micro は AliExpress で安いところを探して、購入しました。 XM Electronic で、購入時にはひとつ $3.53 でした。SparkFun のオリジナルの Pro Micro とは違って、大きな ATmega 32U4 を実装しているボードでしたが、 こちらのサイト で問題なく利用できたという報告があったので、それを購入しました。実際に問題なく使えています。

キーキャップは Pimp My Keyboard から購入しました。このサイトは送料が $49.50 というお値段で、大変にお高くなっています。それでもこのサイトから購入しようとしたのは、好みのキーレイアウトを実現するためです。 Fourier で自分の好きなキーレイアウトを実現しようとすると、色々な大きさのキーキャップが必要になります。好みのキーキャップの色と大きさを選んで小ロットで購入することができるのは、このサイトだけです。

結局のところ、お酒の力を借りて、えいやで購入しました。品物は問題なくオーダー通りに届いたのですが、届いたものを見たところ、お酒の力によって誤発注をしていたことに気付いたという……。アルファベットのキーまで、グリーンのものを注文していました。

そこで、 TALP KEYBOARD からキーキャップのセットを購入して、間に合わせました。そこで分かったんですが、国内通販って素敵ですね。配送で箱がボコボコにならないし、すぐに届きます。おすすめです。

それとは別に、表面実装部品のはんだ付けに挑戦したいとおもって、チップダイオードを買っています。 PCB に 1N4148 というダイオードが付いてくるので、本来なら買い足す必要はないのですが、秋月で 1N4148W を買いました。 40 個単位での販売だったので、 2 パック 200 円です。

組立用機材

もともと電子工作用に、はんだごてなどを持っていたので、買い足したものはそれほどありません。もし、電子工作初心者という方であれば、必要なものは「 Helix キーボードキットの製作に必要な工具メモ 」というページに、いい感じでまとまっていたので、そちらをご参照ください。

私は、チップダイオードをつまむ用に HOZAN P-887 先曲がりピンセット 、表面実装部品のはんだ付け用として HOZAN H-728 フラックスHOZAN Z-275 フラックスクリーナー などを買っています。

それからダイオードって、一方向に電気を流すためのものです。なので、方向があるわけです。チップダイオードは数ミリのチップで、表面に方向を示すための線が印刷されているのですが、老眼がきているアラフォーには識別が大変に難しかったです。素直にスタンドルーペを買うことをおすすめします。

おこったトラブルと解決方法

適切な道具さえあれば、比較的簡単につくれるキーボードですが、それでもいくつかのトラブルに見舞われました。私が直面したトラブルとその解決方法を紹介します。

MacBook Pro で QMK ファームウェアを転送できない

ふだん MacBook Pro では USB-C 対応の USB ハブとして TUNEWEAR ALMIGHTY DOCK C1 を利用しています。そこに接続した Micro B のケーブルから Pro Micro へ QMK のファームウェアを転送しようとしても、いくらリセットしてもリセットの待機状態から書き込みが始まらないというトラブルがありました。

Pro Micro を接続しても /dev/tty.usbmodem* が表示されません。利用している Pro Micro が AliExpress から購入したチープな互換品だったので、そちらの不具合の可能性も疑っていました。

結局のところ、トラブルの原因は USB ケーブルが充電用でデータ転送に対応していなかったことでした。 Micro B の USB って手元にいくつもあるので、あまり考えずに利用してしまっていたのです。こんな簡単なことに、無駄な時間をつかってしまいました。

TRRS ケーブルで左右を接続すると動作しなくなる

Pro Micro をはんだ付けしたあとに動作確認をしようとしたところ、片方だけであれば正常に動作するのに、 TRRS ケーブルを差すと動作しなくなるということがありました。電源がはいっていることを示す LED も点きません。最初、 TRRS ケーブルを差した状態で動作確認をしようとしていたので、片方なら動作するかというチェックをしていなかったのも、解決までが長引いた原因でした。

この問題は TRRS ケーブルを奥まで差し込まずに、ほどよい感じで差すと解決をしました。両方の Pro Micro の電源LEDが点いているかを確認しながら差すのがポイントです。

ある縦一列のキーが反応しない

キーボードを押しても、Y、H、N、右スペースのキーが反応しませんでした。縦一列のキーが反応しないという現象です。これは、 Pro Micro のピンヘッダのはんだ付けがうまくいっていないために発生していました。

使い心地

職場で Fourier を利用しはじめて、数日が経ちました。その時点での感想をお伝えします。

すごそう

なんかすごそう感がすごいです。頭が悪そうですが、いつも使っているよりもキー数が少ないキーボードが、便利になるということは、常識で考えれば無いことですよね。とはいえ、格子配列( Ortholinear )のキーボードとは異なり、ふだん利用しているキーボードに近い雰囲気でキー入力ができるのは良い点だと感じています。

なんだかすごそう、これが自作キーボードをつくる一番のモチベーションだとおもいます。

QMK が便利

Fourier など、自作キーボードで利用されているオープンソースのファームウェア QMK では、自分自身の好みの通りにキー配列を変更することができます。これは、とても便利に感じました。

QMK をいじれば、ひとつのキーに複数の機能を割り当てたりすることが簡単にできます。たとえば、他のキーと一緒に押すとコントロールとして機能して、ひとつだけ押すとタブとして機能するキーのようなものを定義することができます。 40% キーボードにはマイナスキーがないので、左波括弧をダブルタップするとマイナスが入力されるようにする、みたいなカスタマイズも自由にできます。

私のキーマップは GitHub で公開しているので、興味のある方はご覧ください。

ケースにゆがみがありガタガタする

Keebio で購入したケースにゆがみがあって、ガタガタしていました。そのためか、キーボードを打つたびに動いてしまうということがありました。キーボードが動くとキーを打つポジションがずれるので、そのままではとても使いづらいことになってしまいます。

こちらについては、ゴム足をつけることで改善しています。ゴム足は、「3M しっかりつくクッションゴム」という商品をつけています。サイズがいくつかあるので、奥側にはちょっと高めのものを、手前側には低めのものをつけました。

まとめ

Fourier というキーボードを自作しました。キーボードづくりは、どんなキーボードにしようと考えるところに始まり、はんだ付けをしたりして組み立てたり、また自分好みのキー配置にするためにファームウェアをビルドしたり、そのプロセス全体を楽しむことができました。

みなさんもキーボード自作に興味がでたら、ぜひ挑戦してみてください。 ASCII.jpの特集記事『KTUの自作キーボー道』 という記事が丁寧に解説してあるので、その記事を読むところから始めるのがおすすめです。