かぎざら屋さんの MiniAxe という自作キーボードをつくった

人には挑戦が必要です。挑戦とは、自分の心地のよい場所から一歩でることであり、苦痛をともなうことです。しかし、それが学びにつながり、人を成長させます。挑戦がなければ、人は学びもなく、成長もしません。自作キーボードの素晴しさは、人に挑戦の場を与えてくれるところです。そういった意味で、自作キーボードキットのなかでも、 MiniAxe は特別な存在です。

MiniAxe

まず、目につくところといえば、そのコンパクトさでしょう。格子配列 36 キーという仕様は、ふだん 40% キーボードをつかっている私でも戸惑うサイズです。今まで自分がなじんでいたキー配列から一歩を踏み出して、新たな試行錯誤をしなくてはいけません。 暫定的なキーマップ では、このようにしていますが、まだまだ磨いていく必要がありそうです。

また、はんだ付けの難易度が高いというのも特徴です。自作キーボードキットで定番の Pro Micro は採用されておらず、そのマイクロコントローラーとして使われている ATmega32U4 を直接基板上に実装していきます。四角のチップから足がたくさんでている QFP のはんだ付けは初めてで、ビルドガイドで紹介されている動画で学んでから挑戦をしました。はんだ付けは、すべて表面実装です。チップ抵抗やコンデンサが本当に小さくて、苦労をしました。 LED のデスクライトで十分な明るさをとって、ルーペで確認して、とにかく正しい道具と正しい環境をそろえることで乗り切りました。

ホットスワップが可能というのが、 MiniAxe を購入した一番の理由です。 MiniAxe の日常づかいは難しいだろうけれど、キースイッチテスターがわりに色々とスイッチを試すときには便利だろうという思惑からです。

今回は、キースイッチとして、 Kailh Box Black を選んでいます。 Mint60 のときの Tealios がとてもよかったので、すっかりリニアタイプのキースイッチのファンになってしまったのです。また、キースイッチに潤滑剤を塗布するということもやってみたかったので、それほど高価ではなくて評判の高い Kailh Box で挑戦をしてみることにしました。 RO-59tmKT と Super Lube とをためして、 Super Lube の方を選んでいます。潤滑剤を塗ることで、リニアスイッチらしいスッとはいっていく感じ、バターにナイフを入れる感じという表現を見たことがあるのですが、まさにその感じがあります。

MiniAxe は挑戦的な自作キーボードキットです。初めて自作キーボードに挑戦するという方には勧められませんが、いくつかキーボードをつくってみた方には興味深いキットだとおもいます。特に、自分でキーボードを設計してみたいという方には学びが大きいキットです。海外のグループバイでは、あらかじめ必要なものが実装された PCBA が一般的です。 Pro Micro を前提にしてしまうと、大きな制約ができてしまうためです。日本の自作キーボードシーンから、 MiniAxe のような挑戦的なキーボードキットがでてきていることは、本当に素晴しいことと感じました。