子どものころ、電子工作って不思議と魅力的にみえたものです。基板のうえに実装された色々な電子部品それぞれが、技術の結晶のように感じたのです。 hsgw さんが設計した Plaid // Through Hole は、そういった電子工作のレトロフューチャー感がただようキーボードキットです。基板上には、ダイオードが整然と並び、マイコンの Atmega328p が存在感を出していて、右上の並んだ LED がアクセントとなっています。
4×12 格子配列というレイアウトは、格子配列キーボードの中でも Planck レイアウトと呼ばれる王道のレイアウトです。そのコンパクトな見た目に反して、十分に実用的なレイアウトで、愛好するプログラマーもたくさんいます。スルーホール部品だけでつくられているという遊び心の反面、レイアウトはオーソドックスなもの選ばれているところに、ちょっとした設計の意図を感じます。
組み立ての時間は楽しい時間でした。黙々とはんだ付けをしていく時間って何とも楽しく感じませんか。はんだがスルーホールに吸い込まれていくのを確認しながら、ひとつひとつ電子部品をはんだ付けしていく、それが嬉しいのです。キースイッチを PCB マウントのものではなくプレートマウントものを利用して、大いに苦労したのもご愛嬌です。
組み上がったあと、うまく USB として認識してくれないという問題が起きました。こちらは hsgw さんに問い合わせをしたところ、とても丁寧に動作確認の方法をご教示いただくことができました。何もしないでも期待通りの動作をするようになったので、はっきりした原因は不明なのですが、おそらく boot スイッチのはんだ不良かもしれないとのことでした。
キースイッチは、前回に引き続き Kailh Box Black を選んでいます。キーキャップは格子配列用の Big Bang です。 Big Bang は、かなり厚みのある PBT でつくられていて、しっかりとした密度を感じるキーキャップです。 MDA プロファイルという、ホームポジションのキーを底にした椀状になっているプロファイルです。
打鍵感は PCB マウントということもあり、 FR4 のやわらかさを感じる、はずむような打鍵感があります。そして、底打ちの音が PCB とボトムプレートの間からかなり響いてしまいます。もし、職場などで利用するのであれば、気になるという方も多いのではないでしょうか。 KBDfans Aliaz や Orange Healios などのサイレントスイッチを候補にしてもよいのかもしれません。
私にとって Plaid は、とにかくわくわくするキーボードです。 Pro Micro をつかった自作キーボードとは一味違う、電子工作感を存分に楽しむことができます。2018年に大きく花開いた日本の自作キーボードシーンの最後を飾るのにふさわしいユニークなキーボードで、どんどん多様化していく2019年を示唆するようなキーボードだと感じました。