カスタムキーボードって何? どこで買えるの? 自作キーボードとの関係は? 調べてみました!

最近、巷でカスタムキーボードが話題になっているので調べてみました! 本記事は、キーボード #1 Advent Calendar 2019の19日目の記事です。

カスタムキーボードって何?

カスタムキーボードとは、メカニカルキーボードの組み立てキットのことです。カスタムキーボードにはキースイッチやキーキャップがついていないので、自分で好きなものを選んで組み立てるので、カスタムという名前が付けられたそうです。普通のキーボードと比べても打鍵感や打鍵音が素晴しく、デザイン性に優れたものも多いので、趣味として収集している人も多いとのこと。

海外のredditというサイトでは、カスタムキーボードの条件として、市販品やその改造ではないこと、金属製のケースであることが挙げられていました。カスタムキーボードのケースは、アルミのかたまりをコンピューター制御で削り出してつくられるようです。また、ケースには真鍮製のウェイトが付属することもあるみたいです。

現代的なカスタムキーボードのかたちをつくったのは、韓国のユーザーグループであるOTDからリリースされた356シリーズとのこと。2008年にリリースされた356Lが最初です。この頃からアルミ製のケースをというスタイルが確立していたようです。その後、世界中でキーボード愛好家たちが自分たちのためにキーボードをつくるムーブメントが起こってきます。それがカスタムキーボードです。

Percent Studio Canoe

カスタムキーボードはどこで買えるの? 値段は?

残念ながら、カスタムキーボードはグループバイと呼ばれる共同購入が中心のようです。なので、なかなか入手の難易度は高いようです。キーボード愛好家たちが集まる掲示板などで共同購入の募集がされて、そこに応募して入金をすると、半年から一年後にキーボードが届くという仕組みのようです。

値段は、3万円から5万円くらいがボリュームゾーンです。この値段はキットだけの値段になりますので、さらにキーキャップやキースイッチを購入すると追加で1万円から3万円くらいが必要となります。完成させるのに5万円から10万円くらいが必要になるケースも多いようです。

そんなに高価なカスタムキーボードですが、それでも人気ものはすぐに売り切れてしまうとのこと。高価で希少なキーボードとなると、趣味としては敷居が高いといえるようです。

自作キーボードとの関係は?

自作キーボードは、ここ数年、日本で流行しつつある自分でキーボードをつくるというムーブメントです。もともと、海外のエルゴノミクス配列のキーボードキットを個人輸入して組み立てるところから始まったそうです。そのうち、自分たちが欲しいキーボードを設計するようになり、それを同じ興味を持つ仲間に販売するようになって広がってきたとのこと。なので、エルゴノミクス配列のユニークなキーボードが多かったり、自分たちが設計や実装をしやすいようにマイコンボードを利用したり、という特徴があるようです。

自作キーボードとカスタムキーボードはその生まれた背景の違いから、どんなキーボードが好まれるかが違うようです。日本でも「自作キーボード」ではなく「カスタムキーボード」というと、海外で流行しているスタイルのキーボードを指すことが多いようです。マンガとアメコミの関係のようですね。

LAZYDESIGNERS Dimple

いかがでしたか?

今回はカスタムキーボードについて徹底的に調べてみました。

最近、海外でもカスタムキーボードの需要が高まってきているそうです。有名なプロゲームプレイヤーもオリジナルのカスタムキーボードをゲットしているようですね。これからもカスタムキーボードから目を離せそうにありません。

もっと詳しくカスタムキーボードについて知りたいという人は「Learning Custom Mechanical Keyboard」という同人誌をチェックすると良いみたいです。もっと具体的にカスタムキーボードの入手方法から部品をどう選ぶか、潤滑の仕方などが解説されているようですね。興味のでた方は手にとってみてください。

それでは、ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

Learning Custom Mechanical Keyboard

なお、この記事はカスタムキーボードであるMekanisk Fjell R4で書きました。Fjellはポーカーマウントのキーボードです。トレイマウントのキーボードながらブラスウェイトを持ち、安定した打鍵感を実現しています。通常のポーカーマウントでは硬い打鍵感の原因となってしまう中央のマウンティングポイントを取り外せることが特徴で、心地のよい打鍵感を楽しむことができます。標準オプションとして提供されるブラスプレートは硬すぎず、しっかりとした底打ち感がありつつ、指先が痛くなるということはありません。

Mekanisk Fjell

付属のPCBはWilba氏によって設計されたWT60-Dです。PCBに打鍵感を柔らげるためのカットアウトが入っていることが大きな特徴で、そういった制約がありながらも実に配線が美しいPCBです。同じくWilba氏が開発に関わるVIA Configuratorによってサポートされていますので、QMKのようにファームウェアをビルドして書き込むという手間なく、キーマップ変更をすることができます。私自身はもともとプログラマーということもあり、プログラミングによってキーアサインを変更することに抵抗感が少ないタイプでした。コードによる管理はGitでの変更管理もできるのでメリットがあると感じていた方ではあるのですが、VIA Configuratorの利便性を享受して、QMKを面倒だと感じるようになっているのも事実です。

キースイッチはGSUN Holy Pandasです。愛好家の間では人気のあるフランケンスイッチで、BSUN社が製造するスイッチのステムをHalo Switchのものに交換したものです。独特のタクタイル感と打鍵音が特徴です。ステムとハウジングはKrytox GPL 205g0 で潤滑しています。潤滑剤に205g0を選択したのは、Holy Pandas系のバンプ感を抑制しつつ打鍵音を向上させるためです。個人的にタクタイルスイッチでもバンプの山が大きいスイッチを長時間打鍵すると疲れてしまうので、あえて205g0などでタクタイルのバンプをスムースにしてしまうというのが最近の好みです。

なお、スプリングはTHE SPRING 58に変更しました。ボトムアウトで58gfになるように調整されたスプリングで、日本のコミュニティで企画され、日本で製造された正真正銘のメイド・イン・ジャパンのスプリングです。SPRiTと比較して、軽いスプリングの中でもHoly Pandasの独特のタクタイル感をうまく引き出すことができていたのでこちらを選択しています。THE SPRING 58はバネ鳴りが気になってしまうスプリングですが、Krytox GPL 105で潤滑すれば解消できます。58gという荷重も私の好みにも合い、そのうえユニークなスプリングですので、最近では利用頻度が高まっているスプリングです。

キーキャップは、GMK Calm Depthsです。GMK Calm Depthsはグレーとネイビーのベースカラーにシアンの文字が印象的なデザインのキーキャップです。GMK製のキーキャップだけあって、発色は鮮かで自然です。Fjellのグレーとの相性が最高で、全体で落ち着いたトーンでありながらも個性を感じさせる仕上りです。キーキャップの間から見えるブラスプレートとのコントラストも素晴しい対比です。ダブルショットのABS樹脂は肉厚で、しっとりとした打鍵音です。

アクセントとしてKeyforge Shishiというアーティザンキーキャップを飾っています。どことなくユーモラスな感じの顔つきでありながらも端正かつ緻密で、獅子のモチーフの細部までが表現されています。Kyle氏の産み出すアーティザンキーキャップには独特の世界観があり、コレクションをしたいという欲求をかきたてます。

もともとFjellを購入しようと決めたのが、Nathan Kim氏の動画で紹介されていたFjellとHoly Pandasの打鍵音が独特の良さがあり、それを自分でも再現してみたいという動機があったからです。実際に組んでみて、いかにもタイピングしているぞという触感と打鍵音のキーボードとなりました。それまでタクタイルというとALPS SCKMシリーズが一番という気持ちもあったのですが、Cherry MX系のタクタイルも面白いぞというのが大きな発見です。

また、トレイマウントであっても、それが一概に悪いとは言えないということも学びました。Fjellの品質や質感、打鍵感、打鍵音、どれをとっても安価なトレイマウントケースと比べると雲泥の差です。たしかにトレイマウントは柔らかな打鍵感を求めるときには向いていないマウント方式なのかもしれません。しかしながら、バンプの大きいタクタイルやクリッキースイッチであれば、硬めの打鍵感や打鍵音がスイッチの良さを引き出すこともあるようです。

Fjellはその価格に見合うだけの品質を提供しています。定期的にグループバイが行なわれていますので、入手の機会があればぜひとも入手されることをお勧めします。